シンデレラV
     



家に着くと明かりがついているはずの1階が真っ暗でした。

(あれ?不二さんが残ったはずだけど・・・)

舞踏会にはいなかったので越前はますます不思議に思いました。

しかし、すでに12時をすぎているので寝てしまったのだろうと思い2階に上がるとギシギシとベッドの鳴る音

が聞こえてきました。

(不二さんの部屋から・・・?)

近づいていくと聞き覚えのある声がしました。

「ふっ・・・・じ・・・っ!」

「クスクス、英二今日はずいぶん早いんじゃない?」

(魔法使い?)

また一歩近づくと床がぎしりと音を立てました。

「越前だね?」


「っ・・・・!」

部屋からの中からいきなり不二に話しかけられ越前は驚きで息が止まりました


「お帰り、楽しかった?」

「は・・・はい」

「今日は・・・もうっ・・・寝ていいよ」

「はい」

越前が自分の部屋の方へ向きを変えるととまた後ろから2人の話し声が聞こえましたが、聞く気にもなれず

足音を立てないように部屋に戻りました。




越前が落としていった靴を拾った王子が次の日こう言いました。

「このガラスの靴を履くことが出来た者があの時の姫だ、この街にいる確率・・・75%探してこい」

「「はっ!」」

というわけで、家来の河村と海堂は舞踏会に来た人の家を一軒一軒回り、とうとう最後の家まで来ました。



ドンドンドン

「ん?」

越前が朝食の準備をしている最中にドアがノックされました。

いつもならば不二が起きていて不二が出るのですが、今日に限ってまだ起きていません。

出ようか迷っていると

「誰でもいいから出て・・・出来るだけすぐ行くから」

と上から不二の声が聞こえてきました。

しかし、火を使っていたのでやっぱり出られずにいると

「俺が出よう」

後ろに手塚がいつの間にか立っていました。

越前は何か聞かれるだろうと思いうつむいて

「おはよございます・・・手塚さん」

としか言えませんでした。

ですが手塚は何も聞かずにいつものように

「おはよう」

と言い玄関のドアを開けてくれました。

すると2人の兵士が来て

「城からの使いだ。この家で舞踏会に来た者にある靴を履かせろと言う命令で来た」

不機嫌そうな兵士が言うと

「その靴というのがこれなんだ」

と優しそうな兵士が布に包まれたガラスの靴を出しました。

「へぇ、きれいな靴だね。桃履いてごらん」

階段を下りてきた不二が桃城に言ったので足を入れようとしましたが

「はけねーな はけねーよ」

「手塚は?」

「桃城が入らないのに俺が入るわけ無いだろう」

手塚はそう言って腕を組みました。

「家には履ける者がいなかったんでしょ?」

不二が追い返そうとすると

「おい、そこにいるやつも来てなかったか・・・」

海堂が指を指したのは越前でした。




     俺が指を指されたとき
あの人がちょっと動揺したのが分かった
    不謹慎だと分かっているけど
         嬉しかった







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