なんてモヤモヤ 6
「悪いナ、アラシヤマ」
生憎まだベッドを買いに行っておらず急遽アラシヤマにはソファーで寝てもらうこととなった
俺がソファーで寝ると言い出したいのは山々だったが・・・
コタローはずいぶんとアラシヤマを気に入っていたようだけど今日会ったばかりの二人を
いきなり一つのベッドで寝かせるのはさすがに酷だろう
結局選択肢が一つしか無く、こうして寝床の用意をしていると言うわけだ
ちなみにコタローは風呂に入っている
「気にせんといてください。わては元々居候させてもろてる身やし、コタローはんが風邪引かはったら大変やし」
「まだそんなつまんねーことを気にしてんのかオマエは」
隣で洗濯物をたたんでいたアラシヤマの頬を思いっきり左右に引っ張ってやった
ったく、可愛くないっつーか、おもしろくないっつーか
「何度も言うようだけどナ、ここはオマエの家だ。居候でも何でもねーだろ」
「ひたたたた!!」
「返事は」
「はひ!すんまへんろひたっつ」
「分かりゃいいんだよ」
手を放してやるとアラシヤマは赤くなってしまった頬をさすりながらちょっと困ったように笑った
人になってからというものの、ふてぶてしさが綺麗に消え去って遠慮ばかり
これ以上こちらの心に入ってくるなと言われているようで、傷つく
俺はそんなに信用できない飼い主なのだろうか・・・
それとも勝手に俺が飼い主になってしまったことに不満を感じている、とかか?
わしゃわしゃと相も変わらず手触りのいい柔らかな髪をかき回してやる
何で俺はこんなに振り回されてんだろ。成り行きで拾った猫はムカツクくらい可愛くてしょうがない
「さっぱりしたぁ!お風呂空いたよ−・・・ってなにやってんの2人とも」
うん、そのリアクションは正しい。風呂から上がったらなぜか大人2人じゃれていたのだから
何やってるんだと聞かない方が不自然だ
「な、なんでも?風呂空いたんだったな、アラシヤマ先に入ってこいヨ」
「へぇ、そうさせてもらいます」
そんな急ぐことでもないはずなのに、アラシヤマは着替えを持ってそそくさと洗面所に入っていった
逃げやがったなあの野郎・・・
「ふふっ、アラシヤマさんって本当に魅力的で可愛い人だね」
「そう・・・か?」
「うん。ね、おにーちゃん一度お父様に会いに家へ帰るけど、また泊まりに来ていい?」
「あ、あぁ。いつでもおいで」
泊まりに来てくれることも、一緒にいることも嬉しいはずなのに。どうしても不安が拭いきれなかった