なんてモヤモヤ 2
朝感じた胸のざわめきは結局昼になっても消えることはなかった
仕事中にもかかわらずぼんやりと明後日の方向に視線を漂わせ
気付けばアイツのことばかり考えていて・・・・
バカみたいだ、中学生の初恋でもあるまいし
ん?恋?恋なのか?いやいや、アイツは男だし!そもそも猫だし!
「どーしたのシンちゃん。なんか変だよ?」
気付かぬうちにまたぼんやりとしていたのかグンマが菓子パンをほおばりながら首を傾げる
「なんでもねー。それよりオマエ茶くらい出せよ」
「ここは食堂じゃありませんー。シンちゃんが淹れてくれるって言うならいいけど」
「・・・・へーへー、分かったよ。お湯くらい沸かせんだろ?」
「やったぁ!僕シンちゃんの淹れてくれる紅茶大好き!」
小走りでオフィス隣の給湯室に向かうグンマ。また転ぶぞ、と声をかける前に入り口で誰かにぶつかり
盛大に尻餅をついた
「いったぁ・・・・ゴメンネ、ケガして・・・・コタローちゃん!!」
「ボクは大丈夫。ゴメンネ、グンマお兄ちゃんケガしなかった?」
がばっと倒れていたグンマに抱きつく見目麗しき美少年は・・・
「コ・・・・コタロー!!!」
「おにーちゃん!」
起き上がれないグンマを押しのけて愛しの弟を抱き上げる
シンちゃん手を貸してよー!とか非難の声が聞こえるがそんなことよりもコタローの方が大事だ
「いつ帰ってきたんだ?連絡くれれば迎えに行ったのに」
「今日だよ。ビックリさせようかと思って言わなかったんだ」
成功だね、と笑う笑顔はまだあどけないが以前会った時よりも一段と成長しているように思えた
日に日に変わっていく姿をしっかりと目に焼き付けておきたいが、手元に縛り付けて最愛の弟の視野を狭めてしまうのはよろしくない
コタローは日本に留まらずもっと広い世界で羽ばたいていくべきだと思い、涙を呑んで送り出したのだ
「サービス叔父様元気だった?」
「うん!時々ハーレム叔父さんも遊びに来るんだ」
「そうなんだ・・・最近全然会っていないし僕も行こうかなぁ」
コタローの加入で一気に女の子のお茶会になってしまった。まぁコタローが可愛いから許す
3人分の紅茶を淹れて部屋に戻るといつの間にか話題は今夜どこに泊まるかに移り変わっていた
「コタローちゃん今日はお家に帰ってくるでしょ?お父様も喜ぶよ」
「んー・・・今日はおにーちゃんの家に行きたいな。行っていい?」
その提案に俺は一も二もなく頷いた
そう、俺はこのときコタローに会えた嬉しさで完璧に忘れていた
我が家で俺の帰りを待つ訳あり飼い猫、アラシヤマの存在を