なんて臆病 1
「はい、これで語学勉強終了っと!」
「おおきにグンマ博士」
耳に取り付けていたヘッドホンを外して小柄な博士に手渡す
慣れたせいか、再度調整をしてもらったおかげか、初日のような混乱もなく
言葉がすんなりと頭に入ってきた
あの人が気にしていた訛りは・・・・残念ながらもう抜けないだろう
「おめでとう。でもちょっと寂しい・・・かな」
「へ?」
「んーん、なんでもない。あ、そうだシンちゃんに伝言お願いしていい?」
「へぇ。どちらさんからどすか?」
問うと博士はとても言いにくそうに眉間に皺を寄せる
その表情で何となく察してしまった
たぶん伝言というのはあの夜に引っ掻いた金髪の女があの人へ当てたものなのだろう
予想通りちょっと言いづらいからとグンマは紙にペンを走らせる
別に気を遣わなくてもいいのに、自分は彼の飼い猫であって恋人ではない
彼が誰を好きになろうと、触れようと関係ない、ことだ
飼い主と飼い猫の境界を越えてはいけないと常々思う。その線を越えてしまうのがとてつもなく、怖い
書き終えたメモを託し博士は事務所から出て行った。また研究所に籠もるつもりなのだろう
熱心なのもいいがちょっと心配だ・・・なんて人間らしいことを思ってしまった
それからまたすぐに事務所の扉が開いた。この部屋にノック無しで入るのはあの人と博士だけ
「アラシヤマー迎えに来てやった・・・・ぞ?」
「シンタローはん。お疲れ様どす」
いつも通りの笑顔を浮かべて彼の元に駆け寄ったのだが、なぜか怪訝そうな顔をされた
「どうした」
「何が、どすか?」
「すっげー悲しそうな顔。何かあったのか?」
一瞬臆病な考えに気がつかれたのかと思ったがどうやら違うようだ
大丈夫、人として完璧にできるとは思わないけれど、平気なフリくらい自分にだってできる
「大丈夫やさかい。それより、博士から伝言どすえ」
「グンマから?」
預かっていたメモを渡すと彼はすぐに目を通し始め、読み終わる頃にはすっかり表情が曇っていた
ぐしゃりとメモを握りつぶした主は苦笑を浮かべてこう言う
「悪い、今夜ちょっと出かけてくる。飯はちゃんと作ってから行くから」
「へ・・・え・・・・別にかまわへんけど・・・」
何度も悪いナと謝られる
あぁこの人の行動を制限させてしまっているのだと痛いくらいに感じた
++++++++後書き++++++++
す・・・・・進みます
つづ・・・・きます
病み上がりのテンションで書いたら弱々になった
精進が足りん(ゲフンゲフン
シンちゃん浮気とも何とも言えません
お手紙はアラの予想通り金髪の彼女さんから
あーちゃんますます悶々
(具合悪いが)次回予告
1人で夕食1人で就寝
味気ないし、寂しい