なんて強か
鳥の声でフワリと意識が浮かび上がる
いつの間に寝たのだろう?
順を追って思い返していくと彼が風呂に入ってくると言った後の記憶がない
たぶん待っている間に寝てしまったのだろう
(お礼・・・言いたかったんやけどなぁ)
自分の不甲斐なさにちょっと落ち込みながらゆっくりと目を開いた瞬間
「っ!?」
近い。ものすごく近い。何がって顔が
叫び声を何とか抑えたのは彼がまだ眠っていたからだ
バクバクと派手な音を立てる心臓を落ち着かせながら今自分がどういう状況なのか考える
確か昨日邪魔にならないようにとベッドの端で寝たはずなのだが、今現在いる場所は壁際
もしかしたらベッドから転げ落ち彼が拾ってくれたのかもしれない。そういうことにしておこう
そして最大級の謎が抱きしめられていることだ
恥ずかしさに駆られて咄嗟に腕から抜け出そうと思ったがもし振動で彼が目を覚ましてしまったら
それこそ目も当てられない状況になる
ならばこのままにするしかないだろう
以前ならば彼を引っ掻いてでも引き離しただろうが抱き枕代わりにされるくらい何ともない
最初は驚いたが落ち着いてしまえばこの状況を楽しむ余裕まで出てきた
人間とは何とも強かな生き物だ
そっと腕を持ち上げて頬を指で辿る
くすぐったそうに眉をしかめる表情がなんだか可愛らしかった
生まれて初めてのご主人様
誰よりも優しいシンタローはん
最初はずいぶんと変な人間だと思っていた
人のくせに猫に話しかけて、鳴けばどうしたと返事を返してくれる
それはそれで結構幸せな日々だったのに
いつからだろう、もっと側に、もっと近くへ、などという贅沢な思いを抱くようになったのは
週に1回から2〜3回、最終的には毎日通うこととなる
今思えば迷だいぶ惑をかけていた。特に恋人らしい女を引っ掻いた時とか・・・・
(あん人は・・・誰なんやろ)
彼に恋人がいるかどうかは知らない、もちろん聞くこともできない
飼い猫の分際で何を気にしているんだろう
はぁと重いため息をついて時計を見る
いつの間にかもう6時半だ。そろそろ起こさないと仕事に遅れてしまうのだが・・・
「すんまへん・・・シンタローはん」
もう少しだけこのまま
++++++++後書き++++++++
さぁ張り切って進みます
がんがれがんがれ続きます
あーちゃんもだんだん気になってきました><
でもくっつくのはまだまだ先のようです
もどかしい
(すっげぇ寒い)次回予告
今日で最後の語学勉強
グンちゃんからシンちゃん宛に言付けがあります