なんて不思議




人間は変な生き物だと思う

このマンションはペット禁止らしいから少し甘い声を上げれば
中に住んでいる人間は扉を開けて食べ物をくれるのだ
本当に単純で愚かしい、同時に感謝もしている
でなければ外の世界へ行って他の野良猫と争い生きていかなければならないのだから
痛い思いはしたくないし、なにより他の猫と会うのは怖い
生まれたとき母猫から見捨てられこのマンションに住む人間に育てられたようなもの
だから言葉の通じない人間といた方がまだましだ


あの部屋に明かりが点るのが見えて歩き出す
週に2〜3回しか行かなかったのに今では毎日通うようになっている
居心地がいいから、それが一番の理由だ
後は・・・・そこに住む人間が・・・・・・
いつものようにベランダに降りたって声を上げてみる

「にー」

・・・・・戸が開かない
普段ならすぐに迎えられるのに

「にー」

もう一度鳴いてみる

『ねぇ猫の声聞こえない?』
『もうそんな時間か・・・そこ開けてみろよ』

聞き慣れた人間の声となぜか見知らぬ女の声が聞こえた
カラリとガラス戸が開くと金の髪の女がこちらをのぞき込んでくる

「きゃー何この猫!シンタローが飼ってるの?」
「いや、野良・・・・か?時々来るんだよ」
「かわいー!」

伸びてきた手に本能的な恐怖を覚えてとっさに爪を立てる
すると人間の女は悲鳴を上げた

「痛っ!?ちょっとシンタロー!?引っかかれたんですけど!」
「あーわりぃ。そいつ慣れるまではひっかくから気をつけろ」
「何それ!?信じらんない!!」

たいした傷をつけてはいないのに痛い痛いと言ってしな垂れかかっている人間の女を見て
呆れると同時に、胸の奥がきしむ音がした
人間は変だ
うらやましいと思う自分もどこか変だ






++++++++後書き++++++++
いつの間にやら続きます
そこはかとなく続きました
シンタローに彼女ができました
アラシヤマは人に興味を持ちました
アレアレ展開が見えてる
それでいいのベタだって、大好きよ王道




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