usually Christmas





世間は楽しいクリスマス
もちろん年中無休正義のお仕置き集団には特筆すべき日ではない
今日も今日とて書類と格闘する者、遠征の準備に入る者、休暇を取り恋人作りをもくろむ者と様々だ
アラシヤマももちろん例に漏れず書類を片付けている

何とも味気ないクリスマスだと思われるだろうがそれ以外のクリスマスなんて思いつきもしない
欲を言えば思い人・・・シンタローとともに過ごしたいとは思う
しかしアラシヤマの休みは明日からだ
師走になりお互いしゃれにならないくらい忙しく仕事以外で会う時間は皆無
シンタローは今日から明日まで、アラシヤマは明日から明後日までという短い休みだが、奇跡的に1日休みが重なった
明日はシンタローと1日中一緒に過ごせるかと思うと自然に仕事にも力が入り、緩む頬を必死で引き締め倍速で書類に目を通す

「アラシヤマ上官、内線が入っております。」
「おおきに。どちらさんどすか」
「そ・・・それが・・・えっと・・・」
「?」

口ごもる・・・というより焦っているように見える部下
誰だろう?

「はい、一般課アラシヤマ・・・・」
『おぉ、今すぐ総帥室に来るように』
「へ?あ、総帥!?」

内線から聞こえてきたのは意外や意外本日休暇中のシンタロー
私用で内線を使わないで欲しい
あんなに焦っていた原因は雲の上の存在とも言える総帥が直接電話をしてきたからであろう

『返事』
「は、はい!・・わ・・かりました?」

よく分からないまま、理由聞く時間も与えられず切られてしまった内線
上司の命令を無視するわけにも行かず、アラシヤマは終わった書類を抱え部署を後にした





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「一般課アラシヤマ、入ります」


休暇中とはいえ総帥室だ
いつもの癖で声をかけたが残念ながら返事はない
そのまま入ってみるがやはり部屋の主は不在
その代わりに隣の仮眠室から気配がする

珍しく何も乗っていない飴色のデスクに書類を積み上げ
今度は仮眠室のドアをノックしてみた

「やっときたか。入っていいぜ」

ドアを開けこっそり覗いてみるとYシャツにスラックスというラフな格好をした
シンタローがエプロンを着て台所に立っていた
お菓子類を作っているのか部屋には甘い香りが充満している

「ケーキ作ってんだけどさ、生クリーム何色がいい?」
「や・・・特に」
「お前白いからナ。やっぱイチゴでピンクか?いやチョコレート使った方がいいか。抹茶ってのもあんな」
「まてい!!・・・あんさんそれなんに使うつもりどす」
「もちろんお前に」

予想通りに答えてくれました
こういう時こそいつものように右斜め上を行って欲しい
クリスマスで生クリームプレイはベタだけどヤったことねぇからヤってみようぜ
なんてノリノリで中身をかき混ぜる恋人が憎い

「帰りますわ」
「待てよ、せっかく作るんだから食ってけ」

心友手作りのケーキをちらつかせられると弱い
でもアラシヤマは普通の、その後を期待していないと言えば嘘になるが
普通の恋人としてのクリスマスを願っていたのに
なにが悲しくてそんな変態プレイに付き合わなければならないのだろう

「なして…あんさんはなしてそういうことしか考えられへんのや!」
「んだよ、選ばせてやってんだからありがたく思え」
「全然ありがたないわ!!わては普通のクリスマスを期待しとったんどす!」
「なにが不満なんだよ!」
「全部に決まっとるやないの!」

少し構えていたが眼魔砲はとんでこない
こうなれば言えるだけ言った方が勝ちだ
機嫌を損ねてしばらく口を利いてくれないかも知れないが・・・
この際それには目をつぶろう

「なしてそないな変態プレイに付き合わなあきまへんの!」
「プレゼントはいらねぇから付き合え!」
「お断りどす!」
「じゃねーと生クリーム色々揃えて使い終わるまで解放してやんねぇぞ!!」
「どっちにしろ付き合わなあきまへんやないの!!」
「ったりめぇだ!初めっからオマエに拒否権はねんだよ」

不毛な言い争いを続けた声は廊下に響き渡った
翌日団内でどんな噂が流れたか2人は知る由もない



++++++++後書き++++++++

メリークリスマス!

おまけ(キン&グン)




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