午後のティータイム


※NovelsPAPUWA【DOLCE】の微妙な続きとなっております
 先にそちらをお読みください




やっっっっと作ってくれたケーキはやっぱり見た目も味も最上級だった

シンちゃんはお店で売っているものとは比べ物にならないくらい美味しいケーキを作る
それに僕の好みを熟知してくれているから、何度食べても文句なしの百点満点なんだ

うららかな午後3時
ようやく予定の空いたシンちゃんがティータイムに誘ってくれた
静かな総帥室には僕とシンちゃんの2人きり
キンちゃんも誘ったのに今は手が離せないって断られちゃったんだよねぇ

いい香りを漂わせているケーキをほおばれば思わず笑ってしまう程においしい
甘い甘いクリームは全然嫌なものじゃなくて、上品に口の中で蕩けてゆく
スポンジはしっとり
上に乗ったフルーツは甘酸っぱくて生クリームをいっそう引き立てる



「はぁ〜やっぱりシンちゃんのケーキは世界で一番美味しいねv」
「ったりめーだ。この俺様が作ったんだからな」



自信満々に笑顔を浮かべるシンちゃん
今日は機嫌がいいのかな?
ティーパックじゃなくて茶葉から淹れた紅茶まで出してくれた
もちろん遠慮なくたっぷりお砂糖とミルクを入れさせてもらう
だって甘くない紅茶なんて美味しくないじゃん?

そんな僕の様子を見ていたシンちゃんが思いっきり眉をしかめる



「うっわ。オマエこれいい茶葉なんだぜ?そんなに入れたら味分かんねーだろ」
「僕は分かるの!シンちゃんも入れる?」
「や、いい」



角砂糖を差し出したらひきっつた顔で辞退されちゃった
うーん残念
疲れてる時は甘いものがいいって高松も言ってたのにぃ





コンコン
あれ?ノック音
誰か来たみたい
キンちゃん一段落ついたのかな?

でも実際入ってきたのはキンちゃんじゃなかった



「失礼します。総帥この書類・・・うっわ」



書類をたくさん抱えたアラシヤマが生クリームたっぷりのシンちゃんお手製ケー キを目の当たりにして絶句してる
なんで?
あ!分かった
アラシヤマも食べたいんだ
本当は僕が全部食べる予定だったんだけど・・・・
まぁ一切れくらいいいかな



「アラシヤマも食べる?」
「なんなん・・・その殺人的に甘そうなものは」
「バカかオマエ。ちゃんと程良い甘さだっつの」
「あ、これ・・・シンタローはんが作らはったんどすか?!」
「後誰が作るんだヨ」



あーあ ご機嫌だったシンちゃんのテンション一気に下がっちゃったよ
もーアラシヤマは空気読めないんだから
でも、普通なら勝手に休憩するなって怒るはずなのに・・・
それだけシンちゃんのケーキが美味しそうだったってことかな??

ワタワタし始めたアラシヤマを見かねたシンちゃんが指先に生クリームを取る
何となく眺めていたらそのままアラシヤマの口元に持って行った



「ほら食ってみろよ」
「や、わ・・・わて今仕事中やさかい」
「ほー・・・俺の作ったケーキが食べられないと」
「そりゃ食べたいどすけど・・・せめて皿とか」
「い・い・か・ら」



唇につきそうなほど指を近づけられてやっとアラシヤマは口を開く

本当意地っ張りだよね
それか恥ずかしい・・・・・とか?
僕はキンちゃんとしてもぜんぜん恥ずかしくないんだけどなぁ



「美味しい・・・どす」
「だろ?」



指が口から離れた瞬間、アラシヤマの顔がみるみる真っ赤になっていく

シンちゃんはそんなアラシヤマを楽しそうに
愛おしそうに眺めてた

うーん・・・
お父様の心配は的中かも



「ほ・・・ほな、わては仕事がありますさかい!!失礼しましたッツ」
「あ、おい!アラシヤマ」



ばたんッツ
かなり大きい音を立てて扉が閉まる
アラシヤマは制止の声も聞かないで、すごいスピードで部署へ逃げ帰っちゃった
しかも抱えていた資料が床に散らばっちゃってるし
あー・・・・これ拾うの大変そう

ていうかケーキ食べていかないの?
それって僕が全部食べちゃっていいってこと??
ま、いいか
アラシヤマはいつでも作ってもらえそうだし



「ねぇシンちゃん?」
「ん?」



大きめに切り分けたケーキを口に運びながら
何でもないように問いかける
お父様に仄めかせって言われてるんだよね・・・・
答えは分かりきったようなものだけど



「I国のお嬢様ふったって本当?」



この間のお見合いの話を振ったとたん、シンちゃんは飲んでいた紅茶を吹き出した

もったいない
いい茶葉なのにねー
盛大にむせながら僕を睨んできた
うぅ・・・僕は悪くないのに



「げほっげほっ・・・オマっつ・・・誰から」
「お父様に決まってるでしょー?お父様泣いてたよぉ孫がどーとか跡継ぎがどー とか」



はぁーって大きなため息をつくシンちゃん
確かにお父様は可愛そう

でもね?
僕はシンちゃんの望む通りに生きて欲しいんだ

いっぱい我慢してきた
いっぱい飲み込んできた

だから好きな人と一緒にいることくらい我慢しなくていいと思う
これから先辛いこととかいっぱいあるから
シンちゃんの隣でしっかりと支えてくれる人が必要なんだ

それは僕でもキンちゃんでもなくて
アラシヤマじゃないとダメなんでしょ?
いつもいつも邪険に扱うのに側にいないと機嫌が悪い
誰よりも好きなくせに絶対に伝えない

素直じゃないところがそっくりだよ



「愛されてるねー・・・アラシヤマ」
「バーカ。ちげぇよ、誰があんな奴・・・・・」
「違うくないよ」



ごめんなさい、お父様
やっぱり別れろなんて説得できませんでした
シンちゃんはアラシヤマをすっごい大切に思ってるみたいです

四年前からいつも難しい顔をしているシンちゃんが
アラシヤマといる時はとっても幸せそうで

なんだか僕まで幸せになっちゃいました





おいしいケーキと極上の紅茶
そしてノロケまでごちそうになっちゃいました
また作ってね?シンちゃんvv






++++++++後書き++++++++
やっとケーキを作ってもらったグンちゃん
いったい何ヶ月待たせただろうか^^;
シンちゃんの作ったケーキは美味しそうだな
アップルパイとか食べたい
グンちゃんは甘いもの×甘いものでも平気そう
甘いケーキと甘い紅茶
胸焼けしそうww

DOLCEがずるずる長くなって出来たお話し
グンマはマジックにそれとなく聞いてみてくれ的なことを言われていました
でも・・・なんか惚気られただけww
これでDOLCE関係のお話しは終わりです

自分で気づいていないだけ
誰よりも大切なあなた