
部活中突然の雨でそのまま部活は終わってしまった
そして俺は誰もいない部室で顧問に説明しに行った部長が戻るのを待っている
あの2人はムカつくほど幸せそうに同じ傘に入って帰って行った
いつも微笑んでいる先輩はワザと傘を忘れたに決まっている
いつも隙のない人なのは知っているから
でも・・・少しだけうらやましい
部長はそうなったら傘に入れてくれるだろうか
「やば・・・」
この日に限って傘を忘れていた。
(最悪だ・・・)
忘れていたのにそれが嬉しいなんて
もしかしたら・・・
と期待している自分がいる
カチャリと部室のドアが開き部長が戻ってきた
かなり雨に濡れていてそれが雨の酷さを物語っている
「待たせてしまったな」
持ち込んだタオルで髪を拭いて素早く着替える
その間雨の降る音が絶え間なく響いていた
「越前、帰るぞ」
テニスバッグを肩に掛けると部長は扉の前に立つでも俺は立てなかった
「越前?」
頼んでみようか
断られるかもしれない
でもいいと言ってくれるかもしれない
「傘がないのか?」
ズバリ言い当てられてますます顔を上げられなくなった
恥ずかしい・・・
今顔が絶対に赤い
「早く言わないか、そう言うことは」
部長は少しあきれていた
「無いっス」
素直に言うと行くぞと声をかけられた
驚いて顔を上げると手をさしのべられていた
戸惑いながらも手を伸ばすとしっかりと握られた
「たまにはこういうのもいいんじゃないか?」
部室の鍵を閉めると俺達は一つの傘に入った
帰り道なかなか話しかけられない
「止まないな」
話しかけられた
「そうっスね」
つまらない答えしか返せなかった
「じゃあ家こっちなんでありがとうございました」
傘から出ようとする手を更にしっかりと握られた
「今出たら濡れるだろう家まで送るぞ」
はい・・・
俺はそれしか言えなかった
嬉しくて優しい部長が暖かくて
外はまだまだ酷い雨
でも
傘の中は
優しい雨音が聞こえる
++++++++後書き++++++++
塚リョで相合い傘w(古い・・・)
こんな感じで緩くラブラブして欲しいv