なんて臆病 6
初めて見た、あいつの・・・あんな悲しそうな顔
出かけてくる、と言っていたもののあいつが行ける場所なんて・・・ない
人の世界が苦手だからとあいつは家で家事に専念することを選んだのに
なんで俺は追いかけなかった
なんで・・・俺は・・・・
「ちょっとシンタロー!聞いてるの!?」
「え・・・なんだよ」
「あんた顔色悪いわよ。そんなに加野君?が心配なわけ」
「当たり前だろ!あいつはっ!あいつは・・・・」
「な・・・・何よ」
言えるわけがない
あいつは元猫でまだ人間の世界になれていないから一人にしておく訳にはいかないだ、なんて
なんでもないと適当にごまかしたが納得いかないのかなおも食いついてくる
比較するようで悪いがあいつならこんなめんどくさいことを言わない
きっと聞きたそうにするけれど俺が決めたことを信じてくれるはずだ
「きっと気を利かせてくれたのよ。子供じゃないんだからちゃんと戻ってくるって」
「子供だから困ってんだけどナ・・・・」
「え、なんか言った?」
「はぁ・・・・何でもね―よ。とりあえずお前今日は帰れ、俺は今からあいつ探しに行く」
深々とため息をついてソファーから立ち上がったのだが・・・
「いいじゃない、きっと一人になりたかったのよ。それより・・・ねぇ」
するりと頬を滑ってくる手。こういう積極的なところが好きだったりする
知ったキスの感覚。知った肌の手触り。こんな美人もう二度とお目にかかれないかもしれないのに
俺は言い放った
アイツが頼れるのは・・・俺しかいねーんだから
家出したバカ猫を迎えに行くのは、やっぱ飼い主の仕事だろ?
「別れてくれ」
「え、な、何よ・・・いきなり。別れてくれってどういうこと!?」
「そのままの意味だ。好きな奴がいるんだヨ」
「っ!?し・・・んじらんない!!最低!!」
パァンとものすごくいい音を立てる平手を食らわせると、元彼女は顔を真っ赤にして出て行った
あーあ・・・良かったのかよ、俺
じんじんと痛む頬。でもなんか不思議なくらいすっきりした
「さて、行くか」
これはアイツのせいでもあるんだから、帰ってきたらお仕置きとして手当をさせよう
きっと申し訳なさそうに目を伏せるに違いない
++++++++後書き++++++++
進め進め進みます
続け続け続きます
シンが彼女と別れました
さぁお迎えだ!
(いきなり晴れたよ)次回予告
不二VSシン
むしろお説教されちゃいなよYOU★