訪れしあなたはこれからも大切な人



「じゃまするぜ」



大晦日アラシヤマが一人で住んでいるマンションにシンタローが急に訪れた



「シ・・・シンタローはん!?」

「よぉ」



任務でなかなかできなかった大掃除がやっと終わり、年越しそばでも作ろ うかと思っていた矢先ずっと会いたかった人が現れた
実際任務完了報告・雑務などで毎日のように顔を合わせているが仕事の話しかしない。
こうして完全に2人きりというのは本当に久し振りだった



「急にどないしはったんどす?シンタローはんがわての家にくるなんて」

「あ?いや、何となくな・・・」

「そうどすか」



あまりの驚きで蕎麦をゆでる鍋をひっくり返してしまったアラシヤマを笑いつつ、シンタローは赤い軍服を脱ぎ手早く台所に立った
こうなると自分でするより料理上手なシンタローに任せてしまう方がいいとアラシヤマは知っている
もし邪魔をしたともなれば間違いなく眼魔砲で吹っ飛ばされるだろう

とにかく何故来たのか追求するのは後回しにしてアラシヤマは楽しそうに料理す るシンタローを黙って見ていることにした







「おい、いつまで寝てんだ」

「ッツ!?」



いつのまにか寝てしまっていたようだ
時計を見ると後数分で年が明けてしまう


「やっとゆであがったつうのによー」

「すんまへん、なんや最近疲れ溜まってて」


そこまで言ってアラシヤマは後悔した
仕事を振り分けているのは他の誰でもないガンマ団新総帥のシンタローだ



「そないな事よりシンタローはん。いきなりわての家に来るなんてどないしはったんどすか?」



ずっと聞きたかったので思い切って聞いたがシンタローは曖昧にしか答えない



「早く食っちまおうぜ」



シンタローの言葉に従いしばらく無言のまま2人は蕎麦をすすった




そして年が明ける




遠くから除夜の鐘が聞こえてきたことで2人は年が明けたことを知った



「あけましておめでとうございます。今年もよろしゅうおたのもうします。シンタローはん」

「あぁ」



丁寧に新年の挨拶をしているアラシヤマ それを見て向かいに座っていたシンタローがアラシヤマの左目の髪をそっとかきあげた



「な・・・なんどすか?!」



慌てて戻そうとするがシンタローがそれを邪魔する



「今年は左目だしてろよ。せっかく綺麗な顔してんだから」

「ッツ・・・!?」



あまり誉められたことがないアラシヤマはすぐに頬が赤く染まる
それはシンタローから誉められたからということも少なからずあるのだが



「アラシヤマ・・・」



ゆっくりと近づいてくるシンタローの肩を押して何とか止めると不服そうな顔をされた

だがアラシヤマは新年早々こんな事態になるとは思っていない
よっていつもならできる心の準備が全くできていないのだ
とにかく落ち着く時間を稼ぐため先ほど曖昧にしか答えてくれなかったこ とを再度問いただす



「そういうことする前にまださっきの答え聞いていまへんえ」



うっと答えに詰まったシンタローはしばらくの間をおいて小さな声で呟いた



「お前に会いたかったんだ・・・新総帥としてじゃなく、そのままの俺として」



正月にやっと1日だけ休みがとれやっと会いに来れたと
アラシヤマは聞いていて泣きそうになった
休みが少しでもとれたら会いに行こうと自分と同じ事をシンタローも思っていてとても嬉しく感じた



「シンタローはん」

「何だよ」



恥ずかしいのだろうまた小さくだがしっかりと答えてくれる彼が愛しかった





「今年はたくさん一緒にいまひょ」

「・・・ったりめぇだ」



また髪をかきあげて額にキスをされた







今年は2人そろってよろしゅう







++++++++後書き++++++++
初シンアラ〜
アラシヤマが本来の属性を崩しました・・・
つかシンタローさん普通に優しいとかって!
アラシヤマに対して眼魔砲を1度も使わないなんて!!

夏目さんと絵の先生に押しつけた年賀SS
今年もよろしくお願いします(ペコリ