お盆休みなんてあってないようなもの



さて、困ったことになった
敬愛してやまない特戦部隊所属の師匠ことマーカーと
一生を懸けても付いて行くと決めたガンマ団総帥のシンタローが現在進行形で睨み合っている
書類を届けに来ている総帥室と今いるのは同じ場所なのだがいつもとは打って変わって
死ぬ程重たい空気が漂っていた
マーカーの前シンタローの隣に座っていたアラシヤマとてこんな嫌な雰囲気の中いつまでもじっとしているのは耐えられないのだが
どうしても抜け出せない理由がそこにある
なぜなら『アラシヤマのお盆休暇』が関連しているからだ

新制ガンマ団では今まで無かった『お盆の休暇』というものを取り入れた
とは言ってもだいたい1日か2日程度の休みであって世間一般のような連休ではない
正義のお仕置き集団に盆も正月もないのだ
だから書類に忙殺されるアラシヤマが1日だけでも休みを取れたのはまさに奇跡だった
さぁ明日は休みだとウキウキしながら(周りには人魂が一層元気に飛び回っているようにしか見えなかったが)
仕事をしていたら総帥から呼び出しを食らい、今に至る

ものすごく不機嫌な二人から恐る恐る話を聞いたところ
なんと明日はマーカーもシンタローも偶然(なのかどうか怪しいところだが)丸1日休みだと言う
師匠曰く『滅多に会えないのだから一緒に過ごしたい』と
総帥曰く『半年ぶりに休みが重なったのだから一緒に過ごしたい』と
アラシヤマにとって人生最大のモテ期到来なのかもしれない
万年ロンリーな彼にとって喜ぶべき事なのだが、残念なことに双方同性
それにどちらについて行くにしたって、結局寝かせてはくれないのだろう
最悪としか言いようがない。食うか食われるか、ではなく食われるか食われるか
選択肢なんて全くないのと一緒だ
「むしろ一人にしてくれ、休暇なのだからちゃんと休みたい」とか何とか口にすればきっと
蛇炎龍と眼魔砲がため無しで来る
予想ではない、決定事項だ
今まで幾度となく味わっているからこそ自信を持って言える
休み前なのに致命傷を負いたくないためこうして黙って座っているのだった
マッドサイエンティストの側で実験台になりながら休暇を過ごすなんて死んでも御免被りたい

「はぁこれだから甘やかされた二世というのは・・・。総帥の仕事を投げ出すおつもりですか?」

バカにしたような呟きと共に師匠が静寂を破る
シンタローが気にしている二世を引き合いに出しての痛烈な一撃だ

「はっ、決裁は終わらせたから今急ぎの仕事はねーんだヨ」

(や、さっきわてが見とった書類・・・未決裁なんやけど)
呼び出される前に片付けていたのは彼に渡すための書類
今言ったら張り倒されそうだ

「それより俺は確か特戦に別の仕事を頼んでたはずなんだけどナ」
「え、何のことですか?私のところには全く何も来ていませんが」

(それロッド兄はんに押しつけたんとちゃいます・・・・)
2倍に増えた仕事に頭を抱えているイタリア人が目に浮かぶ
口に出せるはずもないから心の中だけ突っ込みの嵐だ

「あの仕事に戻ってええどすか?このままやと休日返上で仕事なんどすけど・・・・」
「お前の休暇だろう?お前がいなくなってどうする」
「つかもうオマエが決めろ。もちろん俺を選ぶよナ、俺たち心友だし」
「それなら私たちは師弟だ。私の言うことは絶対だと教えただろう、アラシヤマ」

・・・・・・・・・・・・・
結局終わりが見えない
マントルよりも深い溜息を吐いているアラシヤマをよそに
シンタローとマーカーの言い争いは激化していく

「いつまでも師匠面してねーで弟子離れしたらどうだ。マーカー」
「貴方こそいつまで友達面なさるおつもりですか?利用していただけなんでしょう、総帥」
「気が変わったんだヨ。性格以外は好みだし」
「残念でしたね、私は全てが・・・」
「あぁぁぁぁ!!!もうええ加減にしとくれやす!!!

ついにキレた。我慢の限界、堪忍袋の緒が切れると言うのを生で味わってしまった
あまり知りたくもない感覚だったが
そして最後辺りの好みの話はまた違うだろう

「わてはトージ君とゆっくり過ごすことにしますさかい。
まぁ?師匠はロッド兄はんに押し付けた仕事終わらして、シンタローはんは残った決裁全部片付けてくれはる
言うんやったら考えてもええけど」

我ながらいいことを思いついたものだ
マーカーの仕事はかなり危険度の高い任務で(それだけ信用されていると言うことなのだろうが)1日で終わるはずがない
シンタローへもたっぷり書類を回してさえおけば疲れて諍いのことなど忘れてしまうだろう
いくら彼らが体力バカでも力尽きてくれるはず・・・・・たぶん

「分かった。言ったからには約束守れよナ、アラシヤマ」
「勝負と言うことか。ふん、この私が負けるはずがない」

自信満々で部屋を出て行ったマーカーといつになく真面目に書類に目を通すシンタロー
一瞬脳裏に嫌な予感がよぎったがこの際考えたくない
その嫌な予感が悲しいかな当たってしまい・・・
見事1日で仕事を片付けてきた師匠と上司に挟まれたアラシヤマは生きた心地のしない休暇を過ごすことになったのであった







++++++++後書き++++++++
A様暑中お見舞い申し上げます。
短い上にgdgdで申し訳ない^q^
でも師匠とシンの絡みは初の試みだったので楽しかったです><
俺得!!

毎日暑いね
つかもう暑中じゃなくて残暑見舞いの勢いかい?
あーあ・・・・

結局3人で過ごすことになってしまったお盆休み
まぁアラは寝れないんじゃないかな。いろんな意味で
さん(ry)アリジャナイカナ^^^^^^^^^^

タイトルは適当
と言うかもう管理人の心情




Novel