非、以心伝心

知ってる
忙しいのは知ってる

けど・・・・・

たった一人
連絡を待つ気持ちも
ほんの少しでいいから考えて欲しい







「アラシヤマ、今日シンタローが帰ってくるそうだ」



それはシンタローが遠征で不在のため
代理総帥キンタローに書類を届けた帰りのことだった



「は？なして？早まったんどすか？？」
「あぁ、そう連絡がきた。知らなかったのか？」



思わず絶句した

こちらにはなんの連絡も来ていない
メールも電話もしたが返事がないかすぐに切られた

それ程忙しいのだ

そう信じて邪魔になるだろうからとあれ以来連絡していない
密かにいつか返事が来るんじゃないだろうかと期待をしていたのに

なぜだろう
酷く裏切られた気がした



「わて仕事に戻りますわ」



出て行こうとした途端、胸ポケットに入れていたケータイが震える
ディスプレイにはシンタローの名前
廊下に出て通話ボタンを押すと聞きたかったようで聞きたくなかった彼の声がする



「よっ、久しぶり」
「ほんまに、けどええんどすか？まだ遠征中やないの」
「大丈夫。今から帰る」



あぁ、やはり
キンタローの話は嘘ではなかった
うっすらと胸に疎外感から来る寂しさが募る



「メールとか気がつかへんかった？」
「あぁわりぃな。忙しくてさ」



キンタローには連絡を入れていたのに？



「そう・・・どすか」
「んだよ、機嫌わりぃな」



だめだ

今は触れないで

いつもなら絶対言わないようなことを言ってしまう

あなたに当てつけのようなことをしてしまう



「わてに連絡する時間もあらへんほど忙しかったんですやろ？他は知らへんけど 」
「は？オマエなに言ってんだよ。意味わかんねぇ」
「っ！！・・・そうどすな。ほな、わては仕事がありますさかい」
「おいっアラ」







ブツッツ




まだシンタローの声がしていたが一方的に通話を切る

そしてそのまま壁に背を預けて座り込んだ


仕事に戻らなくては・・・


分かっているのに足が動こうとしない

忙しくても些細なことでいいから連絡が欲しかった

繋がっている
そう感じたくて
忘れていない
そう安心したくて




「シンタローはんの阿呆・・・っ」



静かな廊下にそれは酷く大きく響いた







伝わらない


伝えられない




久しぶりにシンタローが遠く感じた

＋＋＋＋＋＋＋＋後書き＋＋＋＋＋＋＋＋
うあーまーた暗くなっちゃった
リアで結構なことがありまして・・・↓↓↓
吐き出しちゃえ！！！ってこうなりました
大丈夫です。次こそ大丈夫

伝えなければ伝わらない
それでも怖くて言い出せない
嫌われたく無いんです