The friend?




ある深い山奥
アラシヤマは師匠であるマーカーと2人で山小屋に住んでいた
この場所に至るまでの道のりはかなり険しい
特戦部隊の所有する飛行船に乗せてもらえば、隊長であるハーレムやクマ好きのGが迎えてくれる
だが、わざわざここまで来るのはロッドだけ
山中で修行に明け暮れるアラシヤマにとって、ロッドは外の世界を教えてくれる唯一の人物
幼いアラシヤマは彼が何でも知っているのだと本気で信じている節があり、師匠と同じくらい尊敬していた


そして約3ヶ月ぶりに山小屋を訪れた優しいロッドにアラシヤマはどうしても聞きたいと思っていたことを質問したのだ



「ロッド兄はん!」
「お!!元気してたか〜?あーちゃん」



とてとてと駆け寄ってきたアラシヤマを柔らかく抱き留めたロッド
最初は人見知りが激しく中々近寄ってくれなかったが、こうして懐いてくれると可愛くて仕方がない
それはマーカーも同じはずなのだが師匠の立場を気にしているせいか毅然とした態度しか見せないのだ
優しさも大切だと話せば優しさでは炎は操れないと冷たく返される
炎を操る術を持ち合わせていないロッドにとっては何とも言い難いが、将来を考えるならばマーカーの考えは正しいのかもしれない


(だけどやっぱり不憫だよ。こんなに可愛い子)


なんて考えるロッドをよそにアラシヤマは悩殺斜め45°うるうるおめめで見上げる攻撃を仕掛けていた



「ロッド兄はん!わて聞きたいことがあるんどす〜」
「ナーニ?可愛いあーちゃんからの質問なら出血大サービスで何でも答えちゃうよん♪」



こんな可愛い顔を見せられて答えないわけがない!!
ついでに他のイケナイことも教えてあげたくなっちゃう!!

がそれを教えたらマーカーに殺されそうだ
いや、確実に息の根を止められる
一年前、挨拶程度のキスを教えてあげようとしたらいきなり室内で必殺技を使用したようなお方
危うく焼死しかけたところを彼の愛弟子に助けられたのだから今度はその比ではない

遠い目で過去を振り返るロッド
切ない、あまりにも切なすぎる思い出だ
昔の思い出に浸っているロッドを無視してアラシヤマは話を続ける



「こないだ、森の中でリスさん見つけたんよ。二匹が楽しそうに遊んどったさかい、師匠になしてあないなんやろって聞いたら・・・」
「なんて言ったの?」
「友達なんだろう、て・・・友達ってなんどすのん?」
「・・・・・・」



案外・・・いやかなり難しかった
子供は時折哲学のような質問をしてくる
が、これはまた違った分類ような・・・

とにかくアラシヤマは知らないのだ
友達と言う存在を

まだ本当に幼かったとき、只人の中で忌まれ続けた発火体質をマジックに気に入られ、アラシヤマはガンマ団に引き取られた
しかし、己の能力すらまともに扱えない能力者は兵士どころか危険とされ、同じ能力を持つマーカーに預けられたのだ





それ以来この子は山中から出ていない
以前よりだいぶ上達したとは言うものの未熟な者が外界に出れば人を殺しかねない
無駄な被害を出したくないとマーカーが山から出ることを堅く禁じたのだ
山以外と言えば唯一特戦の飛行船
そこでも同年代の子供おらずいつも同じ大人に囲まれている

複雑な境遇の子
友達がいない・・・と言ってもおかしな話してはないのだ



「えっとネ・・・お友達って言うのはー」



できるだけ具体的に教えてあげたいロッドだったが、如何せん身近でたとえられない


ハーレムは一応上司(あんなの絶対イヤ)
マーカーは恋人(内緒だけど)
Gは同僚(特になし)


あぁ悲しい
そう言えば師匠の信念は【己以外は屑だと思え】だった
理解させるのは無理難題
とにかく一般論を言ってごまかしてみる



「トモダチってのは一緒に遊んだり、ご飯食べたりする人のことかな?一般的に 」
「そうなん!?さすがロッド兄はん!!」
「あーちゃんも士官学校に行けるくらい大きくなれば、きっと沢山トモダチできるよ」



美人だもん・・・たぶん友達以上の相手もできちゃうんだろーな
あーあ、オレのあーちゃんが



「あーちゃん・・・お兄さんのこと忘れないでネ」



師匠に呼ばれ外にかけだしていった幼子の後ろ姿を哀愁に満ちた目でただ見守るしかない











今後その子はロッドの予想通り美人に成長するが、思い描いていた友達を知ることもなく生きていくのだった






++++++++後書き++++++++
なんとなく
小さい頃のアラシヤマはすっごく素直だったと思います
それはもう
何でも信じちゃうくらい
ロッドは美人好きっぽい(偏見