お菓子をくれない人にはいたずらをしていい日がハロウィン
もちろんお菓子をもらってもイタズラしないなんていう保証はないけど
甘いもの好きな僕の恋人にとってはきっと最高の日なのだろう
10月31日青春学園中等部放課後の3年6組教室
僕と英二は部活に行かず日直最後の仕事日誌を書いていた
とは言っても実際に日誌を書いているのは僕で
英二はさっき女の子たちにもらっていたお菓子を食べている
ハロウィンだからなのかジャックオーランタンをかたどったものが多い
「不二も食べる?」
差し出されたのはオレンジ色のチョコレート
さっきからチョコレート系ばかり食べているけど気持ち悪くならないのかな
甘いものが苦手な僕は英二がすごいと思う
「そんなにお菓子ばっかり食べてると太るよ?」
「いーの!これから運動しなきゃいけないから充電してんの」
そう言ってまたチョコレートを口に放り込む
英二がチョコレートで充電するなら僕も充電しなきゃね・・・
英二で
書き上げた日誌を閉じて向かい合わせに座っている英二の手を握る
「うにゃ?」
訳が分からないって顔をしているけど構わずに親指から口に含む
「ふ・・・不二!」
静止じみた声がかかったけど聞こえないふり
英二の指はお菓子を持っていたせいか甘かった
親指を舐め終えて人差し指、中指、薬指と順々に舐めしゃぶる
「ヤダ・・・ねぇ不二止めてよ」
英二の声と手が震えている
それは微弱ながらも感じているという快感の証
聞こえないふりをして殊更丁寧に舐める
根元から指先に沿ってゆき先端を丸く舐めた後は口に含み指の腹を舌先でくすぐる
「〜っん・・・ぁぅ」
英二は必死で声を上げまいと耐えている
「なんで声我慢してるの」
「だって・・・ここ教室だよ?」
顔を真っ赤に染めて英二は口ごもる
いつ誰が来るか分からないから余計に恥ずかしいんだと思う
「今はみんな部活に行ってるよ」
座っていた椅子から立ち上がり英二も椅子から降ろし床に座らせる
そのままキスしようとしたら英二に顔を逸らされた
「て言うか、今から部活だし!遅れてったら手塚に走らされるにゃ」
「僕も一緒に走ってあげる」
あれこれ理由をつけてイヤがってるけどもう遅いよ
スイッチが入っちゃったからね
英二だけ充電して僕にはなにもなしなんてずるいと思わない?
だから僕はお菓子を食べて甘くなった君をいただくことにするよ
キスしようとしても顔を逸らされてしまうから先に学ランを脱がすことにした
こっちの方が絶対に早いし
英二は納得いかないらしくていつまでも抵抗してる
往生際が悪いよ英二
「やっ、マジで止めろってば!!」
「止めないよ」
「何でだよ!」
「僕はまだお菓子をもらってないから」
あ、英二が愕然としてる そんな顔も可愛いと思いつつも服脱がす手を休めない
やっと立ち直った英二が学ランを脱がせ終わりワイシャツの第二ボタンを外していた僕の手を掴む
「さっきあげたじゃん」
「僕はお菓子を食べて十分甘くなった英二を食べたかったんだ」
不意をついてキスをするとやっぱり英二の唇はチョコレートみたいに甘かった
僕はこっちの方が好きだな
「ん〜っ」
いきなりキスしたから英二は怒った様な声を上げる でも舌を絡めてしまえば後は全て僕のいいなり
英二が僕のキスに弱いことはとっくに知っている
奥に逃げていた舌を捕まえて甘く噛んだりきつく吸い上げたりすると英二は直ぐにキスに夢中になって
抵抗が弱まる
英二がどちらのものともとれない唾液を飲み込む度に喉がコクリと上下して飲み
きれなかったものが口から溢れ英二の頬を濡らしていた
英二もやっとその気になったのかゆるゆると首に腕を回してくる
これでやっと甘いお菓子を食べられると思ったんだけど・・・
「なにやってるんスか」
教室に現れたのは越前
普通なにをやっているかなんて分かり切っているはずなのに
白々しい
「越前君、見てわからない?僕たち今忙しいんだけど」
「部長が2人を捜してたっスよ」
俺は戻りますんでさっさと来てくださいね。じゃないと俺が怒られるし
そう言うと越前は踵を返して戻っていく
教室から出て行くとき彼は何故か顔を赤らめていた
・・・しまった
服を脱がしかけていたから英二の綺麗な身体を見られた
もったいない・・・
「結局走んなきゃいけないのかよぉっ」
英二は快感でふらつきながら制服を着直した
そろって僕の邪魔をしてくれたあの2人には後で酷い目にあっていただこう
「今夜必ずお菓子はもらうからね、英二」
僕はにっこり笑って言ったのに英二は何故か顔をひきつらせた
その後僕たちは手塚に言われてグラウンドを20周走ることになる
Trick or treat?
僕はその夜英二を飽きるまでおいしくいただいた
お菓子をくれてもまだ足りない
もっと君を味わいたいんだ