午後4時25分、終わる日
大好きだった
誰よりも
何よりも
大切だった
最初は友達になりたい、それだけだった
でも君に近づくにつれてそれだけでは済まされなくなっていく
友達に、親友に、恋人に
移り変わるのは季節より早かった
誰よりも君の特別になりたくて、誰よりも君の近くにいたくて
こんなに人と仲良くなったことがないから勘違いかと悩んだりもした
感情をはき違えているだけであってコレは愛情ではなく行き過ぎた友情では?と
自分に言い聞かせてみたりもした
でももうごまかせないところまでその感情は育ってしまったのだ
だから僕は思いきってこの思いを伝えてみることにした
拒絶される覚悟はできている
おそらく僕が告白することで今の関係は崩壊するだろう
それでも優しい君は、僕を避けたりせずまた友達として付き合ってくれるのを知っている
僕は狡くて弱いからそうやって自分が一番傷つかないような逃げ道を作るんだ
放課後
もう部活が始まる時間だけど僕は君を呼び止めて屋上に来ていた
吹く風はじっとりと湿っていて初夏と言うよりはもう真夏のような暑さだ
「ね、不二。話ってにゃに?」
「ん?あぁ・・・・あのね」
本当はものすごく緊張しているのにそれを外に出さず僕は君と向かい合う
どうか君が僕を嫌いになりませんように
どうか君が頷いてくれますように
「英二」
「んー?」
「すき」
「すき???」
「英二が好きなんだ」
沈黙
「俺も不二は好きだよ」
「違うんだ」
そうじゃなくて・・・・友達じゃなくて・・・・
恋愛対象としての好きなんだ
ずっとずっと誰よりも好きだった
君の隣にいるのが嬉しはずなのに、楽しいはずなのに
痛いんだ
痛くて切なくて、泣きそうになる
早口に捲し立ててしまった
君に一番見せたくなかった格好悪い姿を晒している自覚はある
それでも伝えられずにはいられなかった
もし心が器をかたどっているならば・・・
僕のそれは君への想いが溢れてしまう一歩手前まで来ていたのだ
「友達のままじゃ・・・・ダメ・・・かな・・・・?」
告げられた言葉は一番聞きたくない台詞だった
今の僕を拒絶するには最高の一言だろうけれど
「そっか・・・・ごめんね・・・困らせるようなこと言って」
「ううん!えっと・・・・不二のこと親友だと思ってるからさ!」
「うん。僕も英二のこと一番大切な友達だと思ってる」
「・・・じゃあ・・・・・俺、行くね」
「また明日ね、英二」
バイバイ
困ったような、泣きそうな顔をして英二は屋上から出ていった
残されたのは僕だけ
たった一人、誰もいない屋上で立ち尽くしている様は
端から見ればさぞかし滑稽だろう
みんなが求める『青学の天才、不二周助』を今僕は演じきれていない
君に好きになってもらうために『優しい不二』になったのに
これじゃあ全然意味がない
君が見てくれないのなら僕には意味がないんだ
帰らなきゃ
でも今まともに歩けそうになかった
暗闇の中に突然放り出された子供のように一歩も前へ進めない
「ふられちゃった・・・・・な」
ぽたぽたと雫が落ちる
あぁ泣いてるのか・・・何て人ごとみたいに思った
どうしようもなく悲しくて
どうしようもなくやるせない
君への思いがこの涙とともに流れ出て行ってしまえばどんなに楽だろう
そんなくだらないことをぐちゃぐちゃした頭の中で考えていた
午後4時27分49秒
この日僕の恋は終わりを告げたました
愛したのは君だけだから
これからも、これまでも世界中でたった一人の君だったから
僕の一生で一度の恋は
この日、死んでしまったのです
君の一言で、死んでしまったのです
++++++++後書き++++++++
ひぃぃぃぃぃ突発です
失恋して泣いてる不二様を書きたかったのです
でも普通魔王不二様ならあの手この手で英二をメロメロにして
絶対にゲットしますよね
ヘタレ不二様書きたかったんだ
短いですが1万5千Hit御礼表不二菊小説となります
御礼なのに・・・・失恋・・・・・・?^^;