春の日の暖かさ
春先の暖かい日、僕たちは先生に資料を探してきてくれと頼まれ図書室に向かっていた
放課後誰もいない静まりかえった廊下にはきゅっきゅっという内履きの音が響く
「ったくさー、先生も酷いよな!俺等に探せなんてさ」
ふいに隣を歩く恋人がうんざりしたように声を上げ同意を求める
そうだねと答えると深いため息をついた
もともとこの仕事は僕たちの担当じゃない
担当者が帰ってしまったため仕事を押しつけられたのだから不満を言いたくなって当然だけど
英二の機嫌が悪い理由じゃないことを僕は知っていた
「当番で残ってたんだからしょうがないよ」
「もっと天気の悪い日にしてくれれば良かったのに・・・」
外では桜が競うように咲き誇り心地よいそよ風が吹いている絶好のテニス日和
中でじっとしているのは耐えられないはずだ
早く部活行こうな!!!と意気込んでいる英二の頭を撫でて図書室のドアを開ける
廊下と同じくらい静まりかえった図書室内に人の気配は感じられない
「誰もいないじゃん・・・」
資料は図書当番の委員が居るから聞けば簡単に見付かる、と言っていたものの
誰1人として借りに来ない図書当番は相当暇だったのだろう
サボりであることは明快だ
「当番さぼんなよ!!」
「愚痴言ってないで探そう?早く部活したいんでしょ?」
そーだった、と英二は先生から渡された探す物のリストを見ていっぱいある・・・とうなっている
「じゃあ俺はこっちから探すから、不二はこっちかんな」
「うん、見つけたらそこのテーブルの上に上げておこうか」
こうして僕たちはそれぞれ目的の資料を探すため別れた
「これで最後かな?」
リストに書かれてある資料の最後の一つを手にすると僕はテーブルに向かう
すると先に終わったのか英二がテーブルに突っ伏していた
「英二ごめんね待たせちゃって・・・英二?」
話しかけても返事がない
不思議に思い英二に近づくとすーすーと静かな寝息を立てていた
最近全国大会に向けて練習もハードになり疲れがたまっていたんだろう
それに今日みたいに暖かい日は疲れていなくても眠くなる
「しょうがないよね・・・?」
部活に行くのは遅れるけど、此処にいるのはなかなか魅力的だ
英二の隣に座り外ハネの柔らかい髪を梳く
今は閉じられている吸い込まれそうなほど大きな瞳
桜色の柔らかい唇
部活に行けばさっきまで僕だけに向けられていた大好きな瞳が僕以外を映すだろう
愛らしい笑みを振りまきながら
このまま起こさないで休もうかとも思ったけど、そんなことをしたら英二はものすごく怒ると思う
でもその怒った表情さえ愛しいと思えてしまうのは君が可愛い過ぎるから
「ちゃんと起こすから・・・もう少しだけこうさせて」
楽しい夢でも見ているのか、僕の声が聞こえたのか英二は柔らかく微笑んだ
さわさわと桜の木が風に揺れ桜が舞い散る穏やかな時間
僕は幸せだと感じた
++++++++後書き++++++++
拍手に置いていたもののリメイク(使い回しとも言う)1から作るのとはまた違う難しさでした
最初とかなり違う方向に・・・
つか英二寝てばっかり・・・
あれ?前もこんな事を言っていたような・・・・・
反省が生かされてないのをひしひしと感じますね(殴
それに・・・なんと言いますか・・・・春だから頭の中が暖かい感じに(お前だ
イメージは英二のアルバム【Hello!】のジャケシャ
あそこが図書室なのかは不明です(おい