ハイネ・クライネ




小さな夜

僕は君に

小さな声で囁いた



真っ暗な闇の中ふっと意識が覚醒した

時計を見ると眠りについてまだそんなに時間が経っていない
もう一度眠りにつこうと、また目を閉じたけどなかなか眠気を感じることができない
僕は諦めて腕の中で静かに寝息をたてる君を眺めることにした

月明かりが部屋を明るく照らし白い肌がよりいっそう白くなっている
僕をとらえてはなさない大きな瞳は今は閉じられていて長いまつげが影を落とす
すると子供っぽさが消えて色気すら感じさせ、柔らかな唇はキスをしていて夢中になってしまう

そう思ったとき僕は無意識に唇を重ねていた
さっき何度も何度もしたはずなのに


「んっ・・・不二・・・?」


君が眠そうな声で僕を呼ぶ
起こしちゃったみたいだ


「ごめんね、英二」


僕は小さく謝った
止まりそうにない


「んぅ・・・っは・・・ぁ」


口を開けさせて深いキスになっていくと、まだ余韻が残っているようで艶のある声を出す
さっきまでさんざんつきあわせて気絶するように眠った君
だからゆっくりと優しくできるだけ負担をかけないように
急なキスに戸惑っていた英二も完全に目が覚めたようで、拙いながらも僕の舌に吸いついてきて
愛おしさがこみ上げてくる


「ごめんね、起こしちゃった」
「謝るくらいなら起こすにゃ・・・」


恨めしそうに潤んだ瞳で睨むけど、それは逆効果


「英二、上目遣いで睨むって僕を誘ってる?」
「なっ!?なにいってんだよ!」
「フフ・・・冗談だよ」
「うぅ〜・・・」


ほんとはそのままもう1回しても僕はよかったんだけど流石に英二には辛いだろうし、明日は部活がある
ふらついたりさせたらまたあの寡黙な部長に何を言われるか


「月、明るいね・・・」
「そうだね」


英二は身体を横にして月明かりに照らされた僕の頬をそっと撫でた
その手をとってキスをすると柔らかく君は微笑む
人懐っこくて、どこでも人気者
でもこんなに穏やかに笑う英二を知っているのは僕だけだ


「?にゃに笑ってんの??」


僕だけが知っている
英二が僕にしか見せない表情
そう思うとなんだか嬉しくてたまらない


「なんでもないよ」


しばらく納得のいかない表情をしていた君の機嫌を直すためにそっと抱き寄せて、髪を梳く
外にハネた髪は柔らかくてさわり心地がとてもいい
すると眠くなったのか英二が僕にすり寄ってきた


「おやすみ、英二」


一足先に寝息を立てた君に小さくキスをして僕も目を閉じた





君にだけ囁く言葉

君は聞いてくれたかな?

ちゃんと聞こえていたかな?

愛してる、

そのヒトコト







++++++++後書き++++++++
5000ヒットありがとうございました♪
これからももさもさ頑張りますっ(・∀・)