『ね!最近欲しいなぁーって思ったやつとかある?』
『君・・・かな』


さも当たり前だというように
君は微笑む
意味が分からなくて俺は聞き返した


『は?』
『君が・・・英二が欲しいいんだ。僕と・・・つきあってください』






affectionately






それは一年生も終わりに近づいた二月中旬のこと
帰り道に突然告げられた告白だった
不二とは気があって、2人で遊びに行ったり何回もお互いの家に行き来している
確かに不二のことは好きだ
とても優しいし男の自分から見てもうらやましいくらいかっこよくて
テニスもめちゃめちゃ上手い、その上強い

だけどそれは恋愛感情の好きなのか
友達としての好きなのか

そう考えるとわからない
答えられないまま何日も不二を避け続けた
なのにあいつは俺が答えを見つけるまでずっと待っていてくれて





だから好きって気づけたんだ

ずっと待っていてくれたからだけじゃない

不二だったから













帰り道並んで歩きながら不二に告白された2年前を思い出す
先に誕生日にプレゼントをもらっていたから不二の誕生日にもなにかあげたいと思って
なにがいいかそれとなく聞こうとした時の出来事



(まさか俺がいいって言うとは思わなかったにゃ)



今では自分自身をプレゼントした方が不二は喜んでくれる、なんて簡単に予想できる

だからこそ今迷っていた
できれば形に残るものをプレゼントしたい(自分の身の安全の為ともいえる)
でも今月のお小遣いがすでにピンチだったり・・・

不二なら気持ちだけで嬉しいよって言ってくれるだろうけど、なにもあげないなんて絶対にしたくない
かといって俺に何かいい案があるわけでもなかった



「何考えてるの?」



悶々と考え込んでいると突然不二に顔を覗き込まれる
あまりの近さに思わず赤面すると面白そうにクスリと笑われた
わざとらしく聞いてくるけど不二は俺の考えることなんていっつもお見通しなんだ
それが悔しくてたまらないから知らないふりをする



「別にー」
「僕のことでしょ」
「ぶぶーハズレ」
「なんだ・・・残念」



いつも僕のこと考えて欲しいんだけどな
なんて歯の浮くような台詞を言って頭を撫でてくる不二
よくこんな恥ずかしい台詞言えるよな・・・と半ば感心してしまう

そんなことよりまた不二に考えを見透かされた
ここはばれてしまう前に男らしくバシッときめる方がいいかもしれない
いつまでもうじうじ行動しないなんて俺らしくないじゃん!!!
意を決して不二の腕をつかんだ



「英二・・・?」
「えっとさ・・・最近欲しいなぁーって思ったやつとかある? 」



不二は一瞬首を傾げたけどすぐに笑い出した
な・・・・なんで!?俺なんか変なこと言った!?
あまりにも唐突な行動に一人であたふたしていると不二は本当に嬉しそうに
蕩けそうな笑顔で俺に言った



「君」
「だからぁ・・・・それ以外」
「違うんだ。本当に英二だけでいい。僕は英二がここにいてくれるだけで・・・僕を見ていてくれるだけで凄く嬉しいことなんだよ」
「へ・・・・・変にゃの!!」
「変じゃないよ。これが僕の本心だから。でも・・・・ひとつだけいい?」
「へ?」



ふわりと不二の使ってるシャンプーの香りがして、キスされていることに気がついた

(ちょっ!?ここ道ばたなんだけど!?)

なんとか止めようと肩を押すけどびくともしない
それどころかどんどんキスは深くなっていって・・・・・

ヤバイ・・・
ボーッとしてきちゃった
うぅ・・俺が悪いんじゃないんだかんね!!不二が上手すぎるから悪いんだ!!
まぁ止めきれなかったのは俺だけど・・・
でもいきなりだったし!防ぎようがなかったんだよな!!

自分を励ましている間に不二に舌を捕まえられた
そのまま絡め取られ吸い付かれれば、何も考えられなくなる
心地よさに足下がふわふわした
腰抜ける・・・と思った瞬間、不二は俺から離れていってしまう



「本番は28日までおあずけ?」
「え・・・?・・・あ・・・あったりまえだろ!!」
「だったら、本番は英二からたくさんしてもらはなきゃね」



不二は俺を見てクスクス笑っていた
あの時と同じように
俺の心の準備が出来て
不二に返事をしたとき



『どうぞよろしくお願いしますっ!!!!』
『・・・英二、そんな改まらなくてもいいんだよ?』



そう言いながらほっとしたようにクスクス笑っていたんだ
でも俺の方はと言えば・・・



「っ・・・!!」



ありがとうって笑いかけた、あの頃とは全然違い
真っ赤に染まった頬をなんとか隠そうと必死で顔を逸らしていた





その後、何度も聞いたけどやっぱり返ってくる答えは同じで。。。
でも本心で言ってもらえるのが
凄く凄く嬉しかったから
まぁ・・・年に1回の誕生日だし?
不二の望み通りに俺をプレゼントしたのだった





++++++++後書き++++++++
不二ハピバ☆
あれっす
英二は可愛いっす(はぁはぁ
いっつも3歳だ!!とか言ってからかってるけど今回はまじめにお祝いしてもらいました
一生懸命なんですよ英二は!!!

不二はちゃんと英二が2年前に言っていた言葉を覚えていました
だから笑い出したんですね
心の支え、太陽とも言える存在の英二が側で笑っている
それが不二にとってなによりも大切なことなんだと思います


遅れてごめんなさいT_T