*僕たちの夏*
夏の初め僕たちは2人で旅行に出かけた。
田舎ではなかったけれど、自然が豊かな所だった宿泊したホテルの近くには海があってもちろん英二は行きたがった
次の日2人で海に行った。
初夏と言うだけあって人が全くいなかった。
「うっわー!!すっごくキレイ!」
色とりどりの貝殻が落ちている砂浜で遊んでいる英二を僕は少し離れた所に座って眺めていた。
すると風に乗ってどこかから鐘の音が聞こえてきた。
「何、この音?」
英二は不思議そうに僕に聞いた。
「教会の鐘だよ。どこかで結婚式してるんじゃない?」
教えた途端英二はサンダルを履いて僕の手を引いた。
「えっ・・・英二!?どこ行くの!?」
突然の出来事に僕はらしくもなくあわてた。
「せっかくだから見に行こ!」
振り返った英二の瞳はキラキラしていてとても楽しそうだった。
鐘は岬の教会から聞こえたらしい。
着くとちょうど皆に祝福されて幸せそうな新郎新婦が歩いている所だった。
そして恒例のブーケトス。
確実に出席した女性達の顔が変わった。
ふわりとブーケが舞い上がった時突風が吹いた。
「「「「・・・・・」」」」
ぽすんとブーケは英二の腕の中に見事に入った。
「何これ?」
英二はブーケの意味を知らないらしい。
混乱が起きる前に僕は英二の手を引いて海岸に向かった。
「ブーケって取っちゃいけなかった?」
不安そうに聞いてくる英二に僕は笑って答えた。
「英二は知らなかった?花嫁が投げるブーケを受け取った人が次に結婚するって」
聞いたことがあるらしく英二の顔はどんどん曇っていった。
「気にしない方がいいって、あの時風で流されたんだから」
ぽんぽんと頭を撫でると英二はそうかな?と笑った。
「そーだ!!俺いいこと思いついた!」
「いいこと?」
海岸に着くと英二は何かを探し始めた。
日は暮れ始めていて僕も探すのを手伝おうとした時
「あった!!」
英二は見つけた物を嬉しそうに僕に見せてくれた。
「桜貝?」
淡いピンク色をした小さな貝殻が2つ
その1つを僕の手に置くとバックの中から白いハンカチを出して頭に載せて座った。
そこで僕も英二が何をしたがっているのか理解して正面に座った。
「へへ・・・俺たちじゃさ・・・できないじゃん?結婚式」
照れた様にでも悲しそうに英二は言った。
「そうだね」
僕たちは結婚出来ない、それは紛れもない事実
「汝不二周助は病める時も健やかなる時も菊丸英二を愛し続けることを誓いますか?」
でも誓うことはできる
ずっと一緒にいようと
「誓います」
ずっと愛していようと
「汝菊丸英二は病める時も健やかなる時も不二周助を愛し続けることを誓いますか」
この想いを大切にしようと
「誓います」
僕たちは指輪の代わりに桜貝を交換した。
「大切にするね」
英二は笑って言った。
「大切にするよ」
僕は英二の頬に手を当てた。
「誓いのキスもする?」
僕はわざとらしく聞いてみた。
どうなるかはとっくに分かっていたけど。
「どっちでもいい!!」
やっぱり英二は恥ずかしがって答えなかった。
だから僕は優しく口付けた。
ありったけの愛情を込めて
出来うる限りの力で君を幸せにしよう
君が僕を選んだことを後悔しないように
1分1秒でも多く幸せだと感じられるように
いつまでも君に笑っていて欲しいから
++++++++後書き++++++++
思ったよりもかなり長くなってしまいました・・・ι
結婚関係の授業をしていたので急に「結婚式出来ないけど疑似結婚式を海岸でした不二菊」が書きたくなり・・・w
でも、Verseで結婚式してるんですよねι
まぁ・・・別バージョンっってことで(苦しい言い訳)
何はともあれありがとうございましたw
貰って下さる方が居ることを祈りつつしばらくの間はフリーにしておきますw
これからもYour small voiceをよろしくお願いします!