
雨が降っている空はどんよりとしている
それはまるで俺の心の中を表しているようだった
別に不二とケンカしてるわけじゃないんだけどさ
なにかあったみたいなんだ
なーんかヤな感じの空から雨が降ってきたのはついさっき
部活は雨により中止
解散になった
それぞれ用事があるのかおチビも手塚もみーんな帰っちゃって残っているのは俺 と不二だけ
俺は濡れて肌にぴったりと貼り付いたジャージに不快感を覚えながら窓の外を眺 めていた
雨は室内で見てる方が方が好きだな
「英二、僕用事があるから先に帰るね」
一緒に帰ると思ってたのに不二はそう言うと先に帰っちゃったんだ
帰り道
まだまだ止まない雨の中傘を差してひとりで帰り道を歩いていた
毎日不二と歩いている道
しゃべりながら歩いているとすぐに家に着いちゃうのに、ひとりだと途方もなく長く感じる
ふと・・・雨の中公園に誰かがたっているのが見えた
それはよく見慣れた姿
先に帰ったはずの不二だった
不二は傘も差さずに雨の中立っていてずぶ濡れで空を見上げている
ミルクティーみたいな髪が雨に濡れて色が濃くなって首や頬に張り付いてどれだけ長い時間そうしていたかが分かる
不二!って直ぐに声をかけたかったでもなんか話しかけちゃいけないような、そんな雰囲気
儚くて
霧のように消えてしまいそう
「英二?」
不二が突然振り返り俺の名前を呼ぶ
邪魔しちゃったかな
「ご・・・ごめん。すぐ帰るつもりだったんだけど気になって」
「謝ることないよ、おいで英二」
駆け寄って不二の手を握ると氷のように冷たくなっていた
少しでも温まるように俺はぎゅっと強く握る
「不二の手・・・すっごく冷たい」
「傘を差していなかったから。英二の手は暖かいね」
不二はさっきまで空を見上げていた何ともいえない表情から普段の笑顔に戻っていた
「何やってんだよこんなとこで」
「ん?あぁ、虹を待ってるんだ」
「虹?」
虹のために1人で先に帰ってこんなに冷たくなるまで待ってんの
なんでそんなに虹が見たいの
「言ってくれれば俺も一緒に待ってたのに・・・」
だったら不二は濡れなくてすんだのに
でも不二は首を振る
「英二が風邪引くと悪いでしょ」
「それは不二も同じじゃん!」
「ふふ・・・それもそうだね。じゃあ一緒に待っていてくれる?」
俺はなにも答えずに不二と手を繋いだ
不二と同じように傘を畳んで見上げた空はやっぱりさっきと同じ色
でもなんか違う気がする
これは君のせい?
乾いていた俺のワイシャツがずぶ濡れになって透ける頃に雨がやっと止んできた
空が明るくなって太陽が顔を見せる
「英二、あれ」
「あ!!」
不二が指を指す方向には大きな虹がでていた
それは今まで見た虹の中で一番綺麗
「虹の写真、撮りたかったんだ」
不二は呟いたけど俺は首を横に振る
だってもったいないじゃん
せっかくこんな綺麗な虹に大切な君と出会えた
写真で撮るのは確かにいいことだと思う でも、一瞬一瞬の奇跡を瞼に焼き付けるのもいいんじゃないかな?
それはほんの些細なことだけど・・・
「不二と俺だけの秘密だよ」
不二はくすくすと笑って俺の首筋に口付けた
「じゃあこれも僕たちの秘密」
そこには鮮やかな華がひとつ
わざと隠せないようなところに付ける
「これじゃあ秘密じゃないじゃん」
「そうだね」
見えるところに付けるのが目的だったかのように華を指先でなぞる不二
「僕の家に寄っていくよね、英二」
「え゛」
「そのまま帰ったら風邪引くよ?」
しっかりと握り返された手に一抹の不安を感じて俺は虹に視線を戻す
雨の日に現れた七色の奇跡
青空にそれはとても映えていて
雨が降る度にきっと思いだす
君と俺の小さな秘密
++++++++後書き++++++++
雨の日の空はどんよりしてるとしか言えないですっ
素敵な題名なのに上手に書けなくてごめんなさいです
もうちょっと気の利いたものが書けるといいのですがなにぶん文才が付いてこないと言う惨事でι
雨の日の空は雨の日の気持ちとリンクしていますのでどうぞ気持ちも読んでやってください
なんだか切ない不二菊を書きたかったのですが失敗です(滝涙
追記
雨の日の気持ちとリンクさせる予定でしたが大失敗しました(ダメ人間!!
別々の話しとして読んで頂ければ幸いですUU