
別れよう
君から言われた唐突な言葉
何で・・・?
俺確かに迷惑かけてばっかだった
けど理由も聞かないでなんて
ヤダよ・・・
俺は君に理由を問い詰めた
言わなければ、分からない?
俺を見る君の目がとても冷たい
立っているのが辛い
カタカタと身体の震えが止まらなかった
君を好きでいるのに疲れたんだ
さよなら
最後にせめて名前を呼んで欲しかった
大好きなあの笑顔で
英二
囁いてくれたあの声で
英二
愛していると
もう一度
俺に言って
不二!
涙が止まらない
追いかけてるのに全然距離が縮まない
俺は呼び続けた
不二っ
「不二っ・・・」
俺は君の名前を呼んで飛び起きた
ここは俺のベッドで下では兄ちゃんが寝ている
あまりにも生々しい夢だった
そのせいか頬が濡れている
逢いたい
心からそう思った
でも時刻は深夜2時
電話したら起こしてしまう
♪〜♪♪〜♪〜
「わっ!?」
ケータイの着信音が鳴る
急いで止めたから兄ちゃんは起きなかったみたいだ
ディスプレイを見るとそこには
不二周助
の文字
「も・・・もしもし?」
「英二・・・」
聞きたかった声を聞くことが出来てなんかドキドキした
「どしたの?こんな時間に」
「どうしても君の声が聞きたくなってね」
俺もだよ
イヤな夢を見たから
それだけが理由じゃないけど声が聞きたかった
「今から出てこれる?」
逢いたいんだ
その一言で十分
俺はパジャマを着たまま待ち合わせの公園に向かった
「不二っ!」
先に公園にいた不二に抱きつく この香りと温もりが一番安心できる
(俺ってほんとに不二がいないとダメなんだ)
なんか、恥ずかしくて嬉しかった
「なに笑ってるの?」
「別に、にゃんでもないよ」
腑に落ちないって顔してたけどそれ以上は聞かれなかった
真っ暗な闇の中俺たちはしばらく黙っていた
すると・・・
ぽた
「雨!?」
俺たちは急いで雨宿りできそうな遊具を探して中に入った
不意に髪から雨の滴が滴り落ちて俺の頬を濡らす
「英二?泣いてるの?」
泣いてないよ
そう言いたかったけどいつの間にか涙があふれ出していた
さっき見た夢を思い出したから
現実に起こらないとは言い切れない悪夢
なぜ見たのかは分からない
でも心細かった
不二にいつか嫌われる
そんなことを考えてしまう
「不二・・・俺のこと・・・好き?」
涙ながらに俺は聞いた
すると不二は呆れたように笑っていった
「好き、だけじゃ足りないよ。愛してる、僕は君なしで生きていけないんだ」
そっと抱きしめられた
パジャマ越しに不二の体温が伝わってきて高ぶっていた感情がだんだん治まってくる
「英二は?僕のこと好き?」
耳元で囁かれる甘い言葉
少し不安げで儚くて頼りない声だった
「好き・・・大好き」
不二の不安が少しでも薄れるように抱きつく腕にぎゅっと力を込める
大丈夫だよね?
君はここにいるよね?
不二にも俺の気持ちが分かったのか腕に力を入れたのがわかった
「不二」
「ん?」
「あのさ・・・」
キスしたい
たった一言なのにすっごい恥ずかしくて言えない
「英二、キスしていい?」
不二が先に俺に聞く
俺は頷いて目を閉じた
「んぅ・・・ふ・・」
外でするにはかなり濃厚なディープキス
これはちょっとやばい・・・
そんな気なんか全然無いのに身体か反応してくる
不二の本気っぽいキスは麻薬以上の効果を持っている
そんなことは知っていたのに
「不二っ・・・も・・・ダメっ」
「なんで?あぁキスだけで気持ちよくなっちゃったんだ」
くすくす笑う不二の顔にはからかいの色があった
どんな未来が待っていても俺は大丈夫
君との思い出が俺を支える
今日の夜のやりとりも
流れてしまう雨じゃなくて
俺の心にしっかりと刻み込まれたから
++++++++後書き++++++++
表を!!
と張り切って書いたらなんとなく裏に突入しかけて焦りました(アワアワ
雨の中の青空は青空とは言えないですよね?
曇り空?
難しいところです
雨の日シリーズもいよいよ大詰めですね!!
更新が遅いですがなにとぞよろしくお願いします(ペコリ
