遙か遠い君




「はぁ〜あんねー不二ぃ・・・俺また怒られちゃったよぉ」


「書類にミスがあってさ・・・ちゃんと見直したはずだったんだけどにゃあ」


「あ、でも何とか間に合ったんだ〜やっぱ俺ってすごくにゃい??」





ね、不二

話しかけても返ってくるはずのない答え
見つめる写真の中の不二と俺はとても幸せそうに笑ってる

これは数年前に撮った
最期の写真

今までで一番幸せだった時間
今はもう失われてしまったものだ






「不二は?そっちでなんか楽しいことあった??」

「テニスとかしてたりしてな・・・・・へへっ・・・・・いいにゃー俺もテニスしたい」

「もう忘れちゃってるかな??だいぶラケット握ってないもんにゃ」





不二か遠くに行って
俺はラケットを握らなくなった
何もする気が起きなくて
毎日不二と一緒に撮った写真ばかり眺めて過ごした
でも不二の撮った写真に写っているのは楽しそうに笑っている俺ばかりで
ようやく見つけたのが不二と2人で写ったこの1枚だった

最初この写真を見ると涙で滲んで不二が見えなかったけど
最近ようやく笑えるようになったよ

愛してる
囁いてくれた君はもういない
一緒に笑って一緒に泣いてくれた君は
俺の元から去ってしまった





「・・・大好き・・・不二」





会いたいよ

会いたいよ

笑いかけてよ

ギュッて・・・

抱きしめてよ





「不二・・・不二・・・不二・・・」





何度呼んでも君はもう答えてはくれない

恋しくて

寂しくて

何年経っても

俺はずっと不二が好きだ
不二だけが大好きなんだ

この気持ちが色褪せることは絶対にない





「俺・・・泣かにゃいかんな」





『泣き顔もかわいいけど英二は笑った顔が一番かわいいよ』
『英二はいつでも笑っていてね?』
『泣きたくなったら僕のところにおいで。絶対に1人では泣かないで』


不二はそう言って俺の髪を梳いた
なに言ってんだよって
俺は笑った

今はもうあの頃みたいに笑えない
今浮かべてる微笑みは無理に作ったモノだってことくらい
自分が一番よく知ってるんだ

不二
大好き

届かないって分かってるけど
毎日言うよ
不二が俺に言ってくれた分以上に
不二が今までにくれたたくさんの幸せを糧にして
俺はそのときが来るまで生きるよ





「また・・・側にいたいな・・・」





これが夢で
目が覚めたら3年6組の教室にいて
隣の席で不二がきれいにノートを取っている
そんで授業が終わったら不二ーっノートみしてーvって抱きつくんだ
英二・・・またなの?
なんてあきれた顔で言うけど不二は俺に甘いから
しょうがないなって言いながら頭を撫でてノートを貸してくれるんだ

それが俺たちの幸せな日常





「不二は・・・俺の隣・・・いてくれる?」





こんな俺の側でまた笑ってくれる?
遠い君に問いかけた



不二

不二

不二



何万回でも呼び続けるから
また会えるように

そしたら俺は

もう一度

不二を好きになるんだ





ね?不二

何万回でも

同じ人を好きになるけど

全く違う恋をしようよ







++++++++後書き++++++++
初不二菊での死ネタ
イメージとしては不二と英二はすでに社会人で不二が先に・・・・
といった感じですね
不二菊では書くまいと思っていましたが・・・・
最初はそんなことをイメージして書いたつもりはなかったのですが
いつの間にかにそうなってしまいました
反省・・・><

英二にはあえて『遠いところ』と言わせました
このようなネタを書いて今更なのですが
どうしても言わせたくはありませんね

絶対にまた会える
だからさよならじゃなくて

また明日