君との距離は近くて遠い
僕自身がその原因を作っているのだけれど
埋めようのない深い溝
君までは
まだまだ遠い
直線上の君と僕
ガンマ団士官学校の訓練は厳しい
だけど、それも当然といえる
なんせ任務中での失敗は命を落とすことにつながりかねないから
僕はここにくる以前にもう経験していたから、それは痛いほど解っている
でも実戦経験が少ないとそんなこと考えも付かないのが普通だろう
実際数人まじめなのはいたけど、大概は上官がうるさいからとりあえずやっているような感じ
訓練は大変だったけど友達がたくさんいたから毎日が楽しくて、悩みなんか抱えなくていい
そんなところなのに
僕には人にいえない悩みができてしまった
「んだらばオラ先に部屋帰ってっからな?」
「うん、僕もすぐ行くわいや」
金色の短い髪をタオルで拭きながらシャワー室を出ていったのが、入学式に知り合いになった東北ミヤギくん
宮城県出身の色白美人でとっても優しいんだ
二人一組で戦闘訓練をするときはミヤギくんとペアを組む
相性がいいのか失敗率は低くて、それがきっかけで自然と僕たちは仲良くなっていった
一緒にご飯を食べたり、訓練を受けたり、寮の部屋も偶然一緒だ
コージとか仲いい奴はいるけどミヤギくんがいつも一緒にいてくれる一番の友達
それだけでよかったのに・・・
それ以外の感情なんかいらなかったのに
僕は・・・ミヤギくんを好きになった
いつから好きなのかは分からない
だけど気がつけばいつも目でミヤギくんを追ってしまう自分がいた
友達としてじゃなく、恋愛対象としての好き
ミヤギくんに逢うまでは考えられなかった、存在することすら忘れていた感情
これまでもこれからも分かることのない、分かりはしないと思っていたから心構えなんかできてなくて
初めて体験するしどうしていいのか全然分からない
これが僕の抱える悩み
こんなこと、誰かに相談できるわけない
だけど、ミヤギくんが僕のことを友達としてしか見ていないのはなんとなく知っている
はっきりと言われたわけではないけれど、雰囲気がそう物語っていた
伝えたい
けれど今の関係を崩したくはない
好きになって欲しい
けれど拒絶されるのが怖い
嫌な予感だけが脳内を駆けめぐって
結局何も言えないまま、臆病な僕を取り残して時だけが過ぎていってしまう
その反動なのか眠れば毎日のように同じ夢を見続けた
僕がミヤギくんを好きでミヤギくんも同じくらい僕のことを好きになってくれて
好きだって囁いてくれる
泣きそうになるくらい幸せな夢
自分に都合のいい夢だとは十分理解していても願わずにいられなかった
実ることのない想いが僕の気持ちを無視して勝手に暴れ出す
ミヤギくんが欲しい・・・・・・・・と
そんな苦しさが耐えられなくなったとき、僕は自己処理をしなければならない
抱いてくれって頼めばきっと相手はいると思う
でも任務以外ではミヤギくんの他に誰からも触られたくない
いくら与えられる刺激が快感なのだと脳が判断しても心が拒絶するせいで吐き気を覚えるだけ
逃げることすら許されない
身代わりのきく恋なら楽だったろうか
時折そんなことを考えるけど、きっと今よりも虚しくなるのは目に見えていることで・・・・・
ミヤギくんがなにも聞かずに先に部屋に帰ってくれたことが唯一の救いだった
こんな浅ましい姿を絶対に見せたくないから
大好きな人が目の前にいるのに、その人のことを考えてするのはあまりにも滑稽だ
浴びていたシャワーの温度を少し下げて目を閉じる
すると目の前にミヤギくんが現れて、欲に染まった青い瞳でじっと見つめられた
触れてと願えば形のいい指が僕の頬をなぞり、全てを奪われてしまいそうなキスをくれる
キスに夢中になっているとミヤギくんの手が僕自身に触れてきた
ソレはすぐに硬くなり水とは明らかに違うくちゅくちゅという濡れた音を響かせる
壁に反響した卑猥な音色は僕を耳からも責め立てた
塞いでしまいたかったけど、快感で持ち主の言うことを聞かない身体は腰が僅かに揺らめいたばかりで
誘っているようにしか見えないという情けない結果に終わった
「あぅ・・・・あ・・・・・ヤギくん・・・ミヤギくんっ」
たまらずに名前を呼ぶとまたキスしてくれた
妄想の中でミヤギくんに抱かれ
現実ではひたすら自身を扱く
人から見ればこれほど哀れなことはないんだろう
だけどそれすら快感で塗りつぶす
じゃないと
隠している想いが嬌声と一緒に漏れだしてしまいそうで
言葉にしてしまえば必死で抑えていた何かが音を立てて崩れていく気がして
「ぁっ・・・・あ・・あ・・・・はぁあっ」
先走りが止めどなく溢れる先端に爪を立てられてびくりと肩をすくませてしまう
そのせいで身体全体が動き、扱かれていた根元を更に手にすりつけてまた新たな快感が生まれた
自分の手だと分かっていても止められない
どうしても
このまま夢を見ていたい
「っく・・・・あ・・・も・・やあぁぁっ!」
どくりと手の中に吐き出された白濁は、流れ続けるシャワーによってすぐに排水溝へと消えていった
上がっている息とは対照的に冷めた頭が背徳感でいっぱいになる
ずるずると壁伝いに座り込んで頭を抱え込んだ
火照った身体に冷たい壁は心地いいけど、果てた後に残ったのは虚しさとか哀しさとか
そんなものだけ
また・・・好きだと言えなかった
妄想にすら告げられなかった
大好きなのにな
心から
ずっとずっと
好きなのに
どうして言えないのかな
「ミヤギくん・・・」
静まり返ったシャワー室には
シャワーが奏でる水音と
僕の嗚咽が響いていた
友達としては一番近くて
恋人としては一番遠い
直線上の君と僕
++++++++後書き++++++++
救いようがない・・・・
ごめんなさい!!
もうちょっとイチャこらラブラブvみたいな!!砂糖を吐いてしまうような物を書きたいな☆とか思っていたのですがっ
管理人的勝手なイメージで言うと、ミヤギくんとトットリが付き合いだしたのはパプワ島行ってからだと思うんですよ!!!
でも実はミヤギくんもニブチン(死語?)なだけで心の奥底ではめちゃくちゃトットリを愛しちゃってるんです!!!!
そう!気がついていないだけ!!(救われたか??
これは【海の忍び音】夏目様にリクエストして頂いたものです
夏目様めちゃくちゃ楽しかったですv
またセクハラなリクお待ちしていますww
夏目様のみお持ち帰り可です
返品はいつでも大歓迎しております(ペコリ
