並んでいるあいつら
阿呆らしいとあいつは笑った
僕から見たら
あいつだってだらずだ
僕は好きだって自覚がある
けど
あいつは気がついていないんだろう
「まだ諦めてへんの」
憎たらしい冷笑がこだました
温かなお湯をはき出していたシャワーを止めたのはもうずいぶん前
だから身体は冷え切っているはずなのになぜか熱いような気がする
風邪引いたかな・・・?
とにかく泣きはらしていたから顔を見られるのが嫌で俯いたまま聞き流した
こんなやつから憐れみを受けたら一生立ち直れない気がする
僕はこの嫌みな実力者をどうしても好きになることができなかった
たとえ僕の気持ちを知っていようとも相談したいなんて思わないし
何年時が経とうとも絶対に無理だ
それでも彼は淡々と続ける
「そうやってれば、いつか気づいてくれるとでも思てんの」
「・・・・よけいなお世話だっちゃ」
「不毛やな。阿呆らしい」
お前に何が分かる
殴ってやりたかったけど僕は何も行動を起こさなかった
鼻で笑ったこいつも、あんなに嫌っていた不毛な関係を持っていることを知っていたから
嫌いあっていたくせにいつの頃から隣が定位置になっている
同等ともいえる力だから当然の結果なのかもしれない
そんな2人を
ミヤギ君がそっと寂しそうな目で見ていたことがある
その時に気がついた
もしかしたら
ミヤギ君はあいつが好きなのかなって
だからこいつがいなければ、僕の隣にミヤギ君はいなかったかもしれない
でも言われたままなのは悔しいから言い返す
「うっさいっちゃ根暗」
「へぇへぇ、泣き終わってんなら行きなはれ」
その言葉を最後に隣から水音が響き始める
反論するのすら嫌になって、おとなしくシャワー室を後にした
あの態度と的確に言い当てられたことにイライラしながら脱衣所で服を着ていると、誰かが中に入ってきた気配がする
もう就寝時間ギリギリのはずなのにアラシヤマ以外でこんな場所に来るとなると1人しか思い浮かばない
「こんなとこいたのか。ミヤギ心配してたぞ」
「・・・・そげだが。ありがとだっちゃシンタロー」
話の途中なのにも関わらず服を脱ぎ始めたシンタローを見てため息が出そうになった
中にはアラシヤマがいて、そしてシンタローが現れた・・・ということは今後の展開が目に見えている
着替え終わると同時に聞こえていた非難の声がプツリと途切れ今度こそため息をつく
「だらずが」
つぶやいた言葉を残してミヤギ君の元に向かう
あいつらみたいに・・・
そんなことは望まない
願うのは
少しでも君の側にいること
++++++++後書き++++++++
裏に置くほどの内容ではなかったのですが【直線上の君と僕】の続きなので一応こちらに
シンタローとアラシヤマは士官学校から関係があったんじゃないかなぁと思います
仲は悪かったけど〜みたいな感じで
でも相変わらず重いww